「第28回企画展展示に代えて その1」のクイズの答えは、
③ 「行はるやあふみの人とおしみける」
でした。
門人の去来が書いた俳論書『去来抄』によれば、「あふみの人」(近江の人)には、近江の門人たちだけでなく、琵琶湖の春の情緒を詩歌に詠んできた古来の人たちをも含みこんでいるということです。
つまり、すべての近江を愛する人たちと心を通い合わせて今年の春を見送る、といった意味が込められています。
芭蕉にとって近江は、心を寄せた土地のひとつでした。例えば、元禄3年(1690)9月28日付の正秀宛芭蕉書簡の中では、「膳所・大津の地を故郷のように思っているため、これから何度も戻ってきてはお世話になります」と語っています。
実際、芭蕉が、現在の滋賀県大津市にあたる地域で詠んだ句は約90句あり、生涯の内で詠んだ句の約1割にあたります。芭蕉は、湖南の風光を愛し、近江の俳人たちと交流を深めました。
それでは、次の写真のうち、芭蕉の近江での足跡はどれでしょうか。
①幻住庵
②堅田の浮御堂
③義仲寺
正解は、次回のむすび手帖の更新をお待ちください。